チャプター 103

ヘンリーは黙ったまま、遠くを見つめていた。目には何ひとつ浮かばず、私の問いだけが、答えのないまま二人のあいだに置き去りにされる。口にされない真実の重みが肩にのしかかり、秒針が進むたびに部屋がじわじわと狭くなっていく気さえした。

私はその質問を口にしたことを、少しずつ後悔し始めていた。結婚に幻想などもう残っていないのだ。答えが返ってきたところで、いったい何が変わる? この関係に終止符を打つことは、すでに決まっているのも同然だった。

その瞬間を破ったのは、キャサリンの声だった。

「ヘンリー、いるの?」廊下から呼びかける。「あなたが言ったとおりよ。グレースがソフィアに謝りに来たの。ね、グレース...

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